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北信州のはなしことば 「な行」
おことわり:ことばの解釈や用法、語源などは、あくまでもこのページの管理者が勝手に判断したもので、学術的な根拠に基づくものではありません。説明が不適当だったり、間違っているものがありましたら、ご容赦ください。
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- 「なう」
- 漢字では「綯う」。藁をよりあわせて縄にすること。
- 普通の縄は”右縒り”で綯うが、注連縄や注連飾りは”左縒り”に綯う。
- 「なから」
- 漢字では「半ら」。 ”おおむね”。共通語の概念とは異なる。
なから:およそ半分。なかば。広辞苑
- 「〜なして」
- ”〜してください”という意味。
- 「よっとくんなして」(家にお入りください)
「お休みなして(おやすみなさい)
- 「なす」
- 借金を返済することを「借金をなす」という。漢字では「済す」。
なす:
1)義務を果す。完納する。
2)借りたものを返す。返済する。広辞苑
- 「なせぇ」
- 傾斜が緩やかなことをいう。「緩い(なるい)」こと。
- 「なせぇな坂道」(傾斜が緩やかな坂道)
- 「なっちょかに」
- ”適当に”。
- 「なっちょかにやっとけや」(適当にやっておいてください)
- 「なっちょに」(【なっ】が低く【ちょに】を上げる)
- ”どんなにか”。
- 「なっちょによからず」(どんなにか、いいでしょうかねぇ)
- 「なっちょも」(【なっ】が高く【ちょも】を下げる)
- ”何とか”、”何とかして”。
- 「なっちょも台風あっち行ってくれればいいんだけんなあ」
(何とか台風があっちの方へ行ってくれればいいんですけどねぇ)
- 「なっちょも」(【なっ】が低く【ちょも】を上げる)
- (否定的に)”何にも”、”何とも”。
- 「この旱魃じゃあ、ちっとばか雨降ったってなっちょもねえ」
(この旱魃では、少しくらい雨が降ったとしても何ともない)
- 「なっとも」(【なっ】が高く【とも】を下げる)
- ”何とも”。
- 「悪さばかこいてなっともしょおねえもんだ」
(悪戯ばかりして何とも仕方のないことだ)
- 「なにしごとに」(【なっ】が高く【に】を下げる)
- ”ついでのときに””片手間に”といった意味。
- 「南瓜植えるとこなんかなにしごとに作っといてやるよ」
(南瓜の苗を植えるところなんか、ついでのときに作ってあげますよ)
- 「なにぞお」
- ”(複数で)何を”。
- 「明日は畑へなにぞお持ってけばいいんだやぁ」
(明日は畑へ何を持って行けばいいんでしょうねぇ)
- 「なむねぇ」
- ”とてつもない”。「なむねぇでっかいカボチャができた」(とてつもなく大きなカボチャができた)
- 「ならば・・・」
- ”できれば・・・”という意味。「できることならば」が縮んだ。
意思や願望を含めて否定的に使う。
- 「なり」
- ”身なり”のこと。
「そんなみっともねえなりするもんじゃねえ」
なり【形・態】:
1)かたち。そうなった、ものの形状。
2)身なり。衣裳。
3)からだつき。広辞苑
- 「・・・・なる」
- ”・・・・なさる”が省略された形。
- 「・・・・しゃる」、「・・・・らる」と同様の敬語表現。
- 「来なる(お出でなさる)」「食べなる(お食べなさる)」「帰りなる(お帰りなさる)」「行きなる(お行きなさる)」
- 「なりきに」
- ”〜なりに”という意味。
- 「としょりゃとしょりなりきに手伝うんさあ」
(年寄りは年寄りなりに手伝いをするものですよ)
- 「なるい」
- 傾斜がゆるいこと。漢字では「緩い」。
なるい:なだらかである。おだやかである。また、はきはきしない。広辞苑
- 「なるたけ」
- ”なるべく”とか”できるだけ”という意味。
- 「なんぎ」
- 重労働を「なんぎな仕事」という。
- 重労働をして疲れたり、病気で体の動きが悪いとき「あーなんぎだ」という。
- 漢字は「難儀」だが、共通語の”難儀”とはかなり意味や使い方が違う。
なんぎ【難儀】:
1)むずかしいこと。容易ならないこと。
2)くるしむこと。なやむこと。
3)わずらわしいこと。面倒な事柄。困難。
4)貧窮。貧乏。広辞苑
- 「なんけり(で)も」
- ”何度(で)も”。”何回(で)”も
- 「なんけりも繰り返してやっと覚えた(何度も繰り返してやっと覚えた)」
- 「うんまくなるまでなんけりでもやってみろ(上手になるまで何回もやってみなさい」
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- 「にかぼこ」
- 年端の行かない赤ん坊のこと。
- 「になう」
- 重量物や大きな物を”一緒に持って運ぶ”こと。
一人で運ぶときには使わない。
に‐な・う【担う・荷う】:
1)肩に掛けてはこぶ。かつぐ。かたげる。
2)自分の仕事として身に引き受ける。おう。広辞苑
- 「にやか」
- ”賑やか(にぎやか)”のこと。「ぎ」は発音しにくいので省略された?
- 「にょらいさん」
- 浄土真宗の門徒が”阿弥陀如来”を親しんで呼ぶことば。
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- 「ぬくとい」
- ”暖かい”
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- 「ねーど」
- ”無いですよ”
「おらちにはお宝なんかねーど」(我が家にはお宝なんか無いですよ)
- 「ね〜る」
- ”眠る”こと。
- 「としょりは5時間もね〜ればいい」
(年寄は5時間も眠れば十だ)
- 「ねくなる」
- ”無くなる”が訛った。
- 「この冬はさびかったんで焚きもんが早くねくなった」
(この冬は寒かったので焚物が早く無くなった)
- 「ねこのしっぽ」
- ”末っ子”のこと。「猫の尻尾」。
- 「次男三男猫の尻尾」
- 「ねっから」(【ね】を低く【から】を上げる)
- ”あまりよくない”、”いまいち”という感じ。
- 「今日の天気はねっからだなあ」(今日の天気はいまいちだなあ)。
ねっから:”根から”を強めて言う語。(下に打消を伴って) 少しも。一向。てんで。広辞苑
- 「ねなくら」
- ”たわごと”
- 「ねばれ」
- ”根払い(ねばらい)”が訛った。山林の「下草刈り」の事。
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- 「のいばり」
- ”抜い針(ぬいばり)”が訛った。
- 「のいもん」
- ”抜い物(ぬいもの)”が訛った。
- 「のう」
- ”抜う(ぬう)”が訛った。
- 「のお」
- ”尚更(なおさら)”、”余計に”、”更に”という意味。”なお”が訛ったらしい。
「邪魔だからせって木の枝切ればのおげんきんなる」
(邪魔だからというので木の枝を切ると余計に元気になる)
- 「のか」
- ”糠(ぬか)”が訛った。
- 「のかる」
- ”抜かる”が訛った。
「雨降って道がのかるんであるきずれ」(道が抜かるので歩きにくい)
- 「のき」
- ”貫(ぬき)”が訛った。
ぬき【貫】:
柱と柱とを横に貫いて連ねる材。その位置により地貫・胴貫・内法(うちのり)貫・頭(かしら)貫などという。
広辞苑
- 「のきえり」
- ”抜襟(ぬきえり)”が訛った。
ぬきえり【抜襟】:「ぬきえもん」に同じ
ぬきえもん【抜衣紋】:和服の着付け方の一。後襟を下げて、襟足が出るように着ること。
ぬきえり。のけくび。ぬぎかけ。仰衣紋(のけえもん)。
広辞苑
- 「のく」
- ”抜く”が訛った。
- 「のぐ」
- ”脱ぐ”が訛った。
- 「のけおちる」
- ”抜け落ちる”が訛った。
「頭洗ったら頭の毛えっぺのけおちた」(洗髪したら髪がたくさん抜け落ちた)
- 「のける」
- ”抜ける”が訛った。
「プリンスメロンのほどがのけたんで食べられるど」(プリンスメロンのへたが抜けたので食べられるよ)
- 「のすっと」
- ”盗人(ぬすっと)”が訛った。
- 「のすむ」
- ”盗む(ぬすむ)”が訛った。
「積んどいた籾そっくりのすまれた」(積んでおいた籾が全部盗まれた)
- 「のっぺす」(【ぺ】を上げる)
- ”なまける”こと。「のめす」ともいう。
- 「のふて」
- ”温かい”、”暖かい”。「のくて」ともいう。
”温い(ぬくとい)”が訛った「のふとい」が更に訛った。
- 反対は「ちびて(冷たい)」、「さび(寒い)」。
- 「のふとい」
- ”温かい”、”暖かい”。
”温い(ぬくとい)”が訛った。
- 「のめす」(【め】を上げる)
- ”なまける”こと。
- 「のめしてばっかいたもんで力が出なくなった」(怠けてばかりいたので、力が出なくなった)
- 「のりい」
- ”温い(ぬるい)”が訛った。
「のりいお茶出された」(温いお茶を出された)
- 「のりばし」
- ”塗箸(ぬりばし)”が訛った。
- 「のる」
- ”塗る(ぬる)”が訛った。
「トタン屋根にペンキのる(塗る)」
- 「のれる」
- ”濡れる(ぬれる)”が訛った。
「雨降ってきたから早く家ん中へえらねえとのれるど」(早く家の中に入らないと濡れるよ)
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