久保の家
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北信州のはなしことば 「や行」

「や」(24) 「ゆ」 「よ」(20)

おことわり:ことばの解釈や用法、語源などは、あくまでもこのページの管理者が勝手に判断したもので、学術的な根拠に基づくものではありません。説明が不適当だったり、間違っているものがありましたら、ご容赦ください。

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「や」

「・・・や」
”・・・しましょうよ”と声をかけるときに使う。
「えっぺやれ(一杯やりましょう)」。「遊べ(遊ぼうよ)」。「食べり(食べましょうよ)」
「我と来て遊べや親のない雀」一茶
「やあはい、やあはい」(【やあ】が高い)
”いやはや”
「やおち」(【や】が高い)
”家中”という意味。
「やおちして温泉に行く」(家中で温泉に行く)
「やっけ」(【や】を上げる)
”厄介(やっかい)”が訛った。
「病気しても他人のやっけにゃあなりたくねえもんだ」(病気になっても他人様の厄介にはなりたくないもんだ)
「やっけぇ」(【け】を上げる)
”やわらかい”。「やっこい」ともいう。
「このプラム、熟みすぎてやっけぇなあ」(このプラムは熟しすぎて柔らかいなあ)
「やくなし」
「役なし」。”役立たず”と同じ感じ。
くだものや野菜の形が悪かったり、傷があって売り物にならないものを「やくなし」と呼ぶ。
「やけっつる」(【や】が低く【けっつ】が高く【る】が下がる
”火傷(やけど)する”こと。
”火傷”は「やけっつり」という。
「やしき」
家の周りのこと。「屋敷」。いわゆる「お屋敷」とは異なる。
屋敷で採れる野菜」というような投書を読んだ某国営放送のアナウンサーが「お屋敷に住んでいらっしゃるなんて、すごい」と放送していたが、田舎の”屋敷”と豪邸のある”お屋敷”を取り違えていたらしい。
屋敷:
1)家屋の敷地。家を造るべき地所。やしきち。「家も屋敷も売り払う」。
2)家屋を構えた一区域の地。田畑・家屋を含めてもいう。
3)武家屋敷の略。武家の住宅。
4)立派な門構えの大きな住宅。邸宅。「大きな屋敷が立ち並ぶ」広辞苑
「やだがる」
”嫌がる”
「やだくてぇ」
”嫌だこと”、”嫌ですねえ”。
遠慮や謙遜の意味を含んでおり、「厭よ厭よも好きの内」に通じている。
「やだことやだこと」
”ああ嫌だ、嫌だ”
「やち」
漢字では「谷・谷地」。湿地のこと。語源はアイヌ語というのはどうも怪しい。
やち:(東日本で) 低湿地。やつ。やと。広辞苑
田村すず子『アイヌ語沙流方言辞典』(草風館):yaci ヤチ 「湿った泥」
山田秀三『関東地名物語』(草風館)P47:「私はアイヌ語地名ばかり四十年も調べてきたのであったが、 アイヌ語の方では低湿地をニタッとかトマムといい、そこに葭芦などが茂っている意味ではサルである。 ヤチという地名は見たことがない。どうしてそんな説が出たか全く見当がつかない。」
『遠野物語』(柳田国男):第9話注記「ヤチはアイヌ語にて湿地の義なり、内地に多くある地名なり。 またヤツともヤトともヤともいう」 言葉の世界
「やちなし」
”無理”。”無茶”。
やちなしするだねぇ」(無茶するな)
「やちゃかる」
”はしゃぐ”。”騒ぐ”。
「やっけんなる」
”厄介になる”が訛った。”お世話になる”という意味。
「せんどなはえらいやっけんなりやした」
(先日はずいぶんお世話になりました)
やっかい【厄介】:
1)他家に食客となっていること。
2)江戸時代、家長の傍系親で被扶養者の称。
3)生活の面倒を見ること。世話をすること。介抱。世話。日葡辞書「ヤッカイニナル」
4)面倒なこと。手数のかかること。迷惑なこと。広辞苑
「やにわ」
”住宅や建物の近く”という意味。
家際(やぎわ)という言葉が訛ったものか。
「やねふき」
定期的に屋根の材料を葺き替えること。麦を作っていたので麦藁(むぎわら)で屋根を葺いていた。本物の茅(かや)葺き屋根は少ない。
「やまはやまなり」
人が歩いた後から山に入っても、まったく採れないということはなく、それなりに収穫はあるのだ、というような意味
山に暮らす人々は、翌年のために、決して採り尽くすことがない、ということが背景にある。
「やめる」(【め】を上げる)
体のあちこちが痛むこと。漢字では「病める」。
「膝が病める(痛い)から天気が下り坂になる」
やめる:いたむ。痛く感ずる。なやむ。病気で苦しむ。広辞苑
「やらしゃる」
”おやりになる”。「やりなさる」からの変化か?
「やりかんぼう」
何でもやりっぱなしで、片付けや整理整頓ができない坊主、という意味らしい。
「あの野郎はやりかんぼうで駄目だ」と婆ちゃんが怒っている。
「・・・やれ」(【や】が高く【れ】を下げる)
”・・・しなさいな”、”・・・しなさいよ”という感じ。
「遊びに行けやれ(行きなさいよ)」、「りんごでも剥けやれ(剥きなさいな)」
「やろども」
”野郎ども”が訛った。「ぎゃろども」「やりども」「やんども」「やんどま」などともいう。
「〜やんしょ」
”〜しましょう””やりましょう”という意味。
「時間になったんで始めやんしょ(始めましょう)」
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「ゆ」

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「よ」

「よいじゃねぇ」
”簡単ではない”と言う意味。”容易じゃない”が訛った。
「よーがんすか?」
”よろしいですか?”という意味。
”良うございますか?”が訛った。
「よーけ」
”余計”が訛った。
「組長んなったらよーけな仕事ばっか増えた」
(組長になったら余計な仕事ばかり増えた)
「よーでもねぇこと」
”余計なこと”という意味。
よーでもねぇことすんな」(余計なことをするな)
「よーのめ」
”魚の目(うおのめ)”が訛った。
「よくどおしい」
”欲深い”あるいは”欲の皮が突っ張っている”という意味。
「よけちげ」
”すれ違い”。「避け違い(よけちがい)」が訛った。
「せばい道でよけちげできねえ」(狭い道ですれ違いができない)
「よこっぺ」
”横”。”横側”。「よこっぺた」「よこっちょ」ともいう。
「よじける」
”よろける”こと。
「よすぶる」
”揺する”こと。
「よせる」
1)洗濯物などを”取り込む”こと。
「雨降りそうだから洗濯物よせてくれや」(取り込んでください)
2)仲間に入れること。
「おれもよせりや」(俺も仲間に入れて下さい)
「よたくそ」
”体が弱い”こと。”虚弱体質”というような感じ。
「あのやろはよたくそで風邪ばかひいて困ったもんだ」(あの野郎は体が弱く風邪をひいてばかりいて困ったものだ)
「よたこく」
”訳の分からないことを言う”。
よた【与太】:でたらめ。ふざけた、くだらないことば。広辞苑
「よてへえる」(【て】)を上げる
”得意になる”。
「カラオケよてへっちゃってて、まあうんめもんど」
(カラオケが得意で、まあ上手だこと)
「よてる」
”好き””得意としている”という意味。
苦手なときや嫌いなものは「よてね」「よてない」
「すっぺもんはよてねんど」
(酸っぱい物は嫌いなんですよ)
「よっぱわるい」
”気まずい”
「よばる」
”呼ぶ”こと。
「まんまだから婆ちゃん呼ばってこい」(ご飯だから婆ちゃんを呼んできなさい)
よばる:呼ぶ。広辞苑
「よばれる」
”いただく”、”ご馳走になる”。
「せっかく持ってこらったんだからみんなでよばれやんしょ」
(せっかく持ってきていただいたのですから、みなさんでご馳走になりましょう)
「よもて」
”重たい”が訛った。
「よりい」
”寄り合い”が訛った。
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