◎ホーム
→ 北信州の方言
→ 北信州のはなしことば
→ 「や」
sitemap
北信州のはなしことば 「や行」
おことわり:ことばの解釈や用法、語源などは、あくまでもこのページの管理者が勝手に判断したもので、学術的な根拠に基づくものではありません。説明が不適当だったり、間違っているものがありましたら、ご容赦ください。
さくいんに戻る
- 「・・・や」
- ”・・・しましょうよ”と声をかけるときに使う。
- 「えっぺやれや(一杯やりましょう)」。「遊べや(遊ぼうよ)」。「食べりや(食べましょうよ)」
「我と来て遊べや親のない雀」一茶
- 「やあはい、やあはい」(【やあ】が高い)
- ”いやはや”
- 「やおち」(【や】が高い)
- ”家中”という意味。
「やおちして温泉に行く」(家中で温泉に行く)
- 「やっけ」(【や】を上げる)
- ”厄介(やっかい)”が訛った。
- 「病気しても他人のやっけにゃあなりたくねえもんだ」(病気になっても他人様の厄介にはなりたくないもんだ)
- 「やっけぇ」(【け】を上げる)
- ”やわらかい”。「やっこい」ともいう。
「このプラム、熟みすぎてやっけぇなあ」(このプラムは熟しすぎて柔らかいなあ)
- 「やくなし」
- 「役なし」。”役立たず”と同じ感じ。
- くだものや野菜の形が悪かったり、傷があって売り物にならないものを「やくなし」と呼ぶ。
- 「やけっつる」(【や】が低く【けっつ】が高く【る】が下がる
- ”火傷(やけど)する”こと。
”火傷”は「やけっつり」という。
- 「やしき」
- 家の周りのこと。「屋敷」。いわゆる「お屋敷」とは異なる。
- 「屋敷で採れる野菜」というような投書を読んだ某国営放送のアナウンサーが「お屋敷に住んでいらっしゃるなんて、すごい」と放送していたが、田舎の”屋敷”と豪邸のある”お屋敷”を取り違えていたらしい。
屋敷:
1)家屋の敷地。家を造るべき地所。やしきち。「家も屋敷も売り払う」。
2)家屋を構えた一区域の地。田畑・家屋を含めてもいう。
3)武家屋敷の略。武家の住宅。
4)立派な門構えの大きな住宅。邸宅。「大きな屋敷が立ち並ぶ」広辞苑
- 「やだがる」
- ”嫌がる”
- 「やだくてぇ」
- ”嫌だこと”、”嫌ですねえ”。
遠慮や謙遜の意味を含んでおり、「厭よ厭よも好きの内」に通じている。
- 「やだことやだこと」
- ”ああ嫌だ、嫌だ”
- 「やち」
- 漢字では「谷・谷地」。湿地のこと。語源はアイヌ語というのはどうも怪しい。
やち:(東日本で) 低湿地。やつ。やと。広辞苑
田村すず子『アイヌ語沙流方言辞典』(草風館):yaci ヤチ 「湿った泥」
山田秀三『関東地名物語』(草風館)P47:「私はアイヌ語地名ばかり四十年も調べてきたのであったが、
アイヌ語の方では低湿地をニタッとかトマムといい、そこに葭芦などが茂っている意味ではサルである。
ヤチという地名は見たことがない。どうしてそんな説が出たか全く見当がつかない。」
『遠野物語』(柳田国男):第9話注記「ヤチはアイヌ語にて湿地の義なり、内地に多くある地名なり。
またヤツともヤトともヤともいう」
言葉の世界
- 「やちなし」
- ”無理”。”無茶”。
- 「やちなしするだねぇ」(無茶するな)
- 「やちゃかる」
- ”はしゃぐ”。”騒ぐ”。
- 「やっけんなる」
- ”厄介になる”が訛った。”お世話になる”という意味。
「せんどなはえらいやっけんなりやした」
(先日はずいぶんお世話になりました)
やっかい【厄介】:
1)他家に食客となっていること。
2)江戸時代、家長の傍系親で被扶養者の称。
3)生活の面倒を見ること。世話をすること。介抱。世話。日葡辞書「ヤッカイニナル」
4)面倒なこと。手数のかかること。迷惑なこと。広辞苑
- 「やにわ」
- ”住宅や建物の近く”という意味。
家際(やぎわ)という言葉が訛ったものか。
- 「やねふき」
- 定期的に屋根の材料を葺き替えること。麦を作っていたので麦藁(むぎわら)で屋根を葺いていた。本物の茅(かや)葺き屋根は少ない。
- 「やまはやまなり」
- 人が歩いた後から山に入っても、まったく採れないということはなく、それなりに収穫はあるのだ、というような意味
- 山に暮らす人々は、翌年のために、決して採り尽くすことがない、ということが背景にある。
- 「やめる」(【め】を上げる)
- 体のあちこちが痛むこと。漢字では「病める」。
「膝が病める(痛い)から天気が下り坂になる」
やめる:いたむ。痛く感ずる。なやむ。病気で苦しむ。広辞苑
- 「やらしゃる」
- ”おやりになる”。「やりなさる」からの変化か?
- 「やりかんぼう」
- 何でもやりっぱなしで、片付けや整理整頓ができない坊主、という意味らしい。
- 「あの野郎はやりかんぼうで駄目だ」と婆ちゃんが怒っている。
- 「・・・やれ」(【や】が高く【れ】を下げる)
- ”・・・しなさいな”、”・・・しなさいよ”という感じ。
- 「遊びに行けやれ(行きなさいよ)」、「りんごでも剥けやれ(剥きなさいな)」
- 「やろども」
- ”野郎ども”が訛った。「ぎゃろども」「やりども」「やんども」「やんどま」などともいう。
- 「〜やんしょ」
- ”〜しましょう””やりましょう”という意味。
「時間になったんで始めやんしょ(始めましょう)」
上に戻る
上に戻る
- 「よいじゃねぇ」
- ”簡単ではない”と言う意味。”容易じゃない”が訛った。
- 「よーがんすか?」
- ”よろしいですか?”という意味。
”良うございますか?”が訛った。
- 「よーけ」
- ”余計”が訛った。
「組長んなったらよーけな仕事ばっか増えた」
(組長になったら余計な仕事ばかり増えた)
- 「よーでもねぇこと」
- ”余計なこと”という意味。
- 「よーでもねぇことすんな」(余計なことをするな)
- 「よーのめ」
- ”魚の目(うおのめ)”が訛った。
- 「よくどおしい」
- ”欲深い”あるいは”欲の皮が突っ張っている”という意味。
- 「よけちげ」
- ”すれ違い”。「避け違い(よけちがい)」が訛った。
「せばい道でよけちげできねえ」(狭い道ですれ違いができない)
- 「よこっぺ」
- ”横”。”横側”。「よこっぺた」「よこっちょ」ともいう。
- 「よじける」
- ”よろける”こと。
- 「よすぶる」
- ”揺する”こと。
- 「よせる」
- 1)洗濯物などを”取り込む”こと。
「雨降りそうだから洗濯物よせてくれや」(取り込んでください)
- 2)仲間に入れること。
「おれもよせりや」(俺も仲間に入れて下さい)
- 「よたくそ」
- ”体が弱い”こと。”虚弱体質”というような感じ。
- 「あのやろはよたくそで風邪ばかひいて困ったもんだ」(あの野郎は体が弱く風邪をひいてばかりいて困ったものだ)
- 「よたこく」
- ”訳の分からないことを言う”。
よた【与太】:でたらめ。ふざけた、くだらないことば。広辞苑
- 「よてへえる」(【て】)を上げる
- ”得意になる”。
- 「カラオケよてへっちゃってて、まあうんめもんど」
(カラオケが得意で、まあ上手だこと)
- 「よてる」
- ”好き””得意としている”という意味。
- 苦手なときや嫌いなものは「よてね」「よてない」
「すっぺもんはよてねんど」
(酸っぱい物は嫌いなんですよ)
- 「よっぱわるい」
- ”気まずい”
- 「よばる」
- ”呼ぶ”こと。
- 「まんまだから婆ちゃん呼ばってこい」(ご飯だから婆ちゃんを呼んできなさい)
よばる:呼ぶ。広辞苑
- 「よばれる」
- ”いただく”、”ご馳走になる”。
- 「せっかく持ってこらったんだからみんなでよばれやんしょ」
(せっかく持ってきていただいたのですから、みなさんでご馳走になりましょう)
- 「よもて」
- ”重たい”が訛った。
- 「よりい」
- ”寄り合い”が訛った。
上に戻る
さくいんに戻る
◎ホーム
→ 北信州の方言
→ 北信州のはなしことば
→ 「や」