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北信州のはなしことば 「あ行」
おことわり:ことばの解釈や用法、語源などは、あくまでもこのページの管理者が勝手に判断したもので、学術的な根拠に基づくものではありません。説明が不適当だったり、間違っているものがありましたら、ご容赦ください。
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- 「あいさ」
- ”間(あいだ)”のこと。
- 「新聞のあいさにはさんである広告のほうが新聞よりよもてなあ」(新聞のあいだにはさんである広告の方が、新聞よりも重たいねえ)
- 「あいは」
- 1)漢字では「合端」。”相手”。
「一人暮らしは話しあいはもいねくて、はりねだらず」(一人暮らしは話し相手もいなくて、寂しいだろう)
- 2)共通語の「合端」と同じ意味でも使われている。「あいはが悪い」(相性が悪い)。
あいは:人と人との間柄。仲。広辞苑
- 「あおでしょ」
- ”アオダイショウ(青大将)”のこと。
- 「藁はぐったらでえっけあおでしょ出てきたんでたまげたこと」
(藁をまくったら大きな青大将が出てきたのでびっくりした)
- 「あおのけ」
- ”あおむけ(仰向け)”のこと。
あおのけ【仰のけ】:「あおむけ」に同じ。広辞苑
- 「あがりっと」
- ”上がり口”、”玄関”のこと。
- 「裏の山のあがりっとにでっけえ茸生えてた」(裏の山の上がり口に大きな茸が生えていた)
- 「あきょんど」
- ”商人(あきんど)”が訛った。
- 「あきね」
- ”商い(あきない)”が訛った。
- 「あくたれ」
- ”悪口”のこと。
あくたれ【悪たれ】:
1)わざと乱暴すること。たちのわるいいたずら。
2)「悪たれ口」の略。
3)「悪たれ者」の略。広辞苑
- 「あくと」
- ”踵(かかと)”のこと。
あくと:(アグトとも。関東・東北地方で) かかと。くびす。あぐつ。広辞苑
- 「あくねる」
- ”飽きる”
- 「毎日毎日キュウリの漬け物ばっかであくねた」(毎日毎日キュウリの漬け物ばかりで飽きた)
- 「あげる」
- 1)ハイヤーやタクシーで移動することを「営業車をあげる」という。
救急車が出動した場合には「救急車があがった」という。
信州高山村全体が扇状地の斜面に位置するため、「あがる」「くだる」というだけで方角がわかるという特異性に由来するかもしれない。
- 2)子どもを進学させることを「上の学校にあげる」という。
- 3)借りて耕作していた田(畑)を返すことを「田(畑)をあげる」という。
- 4)”嘔吐する”こと。
「酒飲みすぎて食ったもんみんなあげちまった」(酒を飲み過ぎて食べたものを全部嘔吐してしまった)
- 「あしったるい」
- ”足がだるい”
- 「1日中立ったまま仕事してたんで足ったるい」
- 「あじはむ」
- ”味をしめる”
- 「あのちのぼこに菓子やったらあじはんでまた来るせってる」
(あの家の子供にお菓子をあげたら味をしめてまた来ると言っている)
- 「あすこ」
- ”あそこ”が訛った。
- 「あすこここ」
- ”あちこち”。
「すぐけってくるせって出掛けたけん、あすこここ寄ってたんでえれえ時間かかちまった」
(すぐに帰ってくると言って出掛けたけど、あちこち寄っていたのでずいぶん時間がかかってしまいました)
- 「あすぶ」
- ”遊ぶ”が訛った。
- 「あそびひ」
- 私的や公的な行事などで仕事ができない日のことを呼ぶ。”遊び日”
「こう遊び日ばっかじゃ仕事になんねえ」などとぼやく。
ただし、名誉職やある種の公職に本人が望んで就いている場合、それをさりげなく自慢しているので、額面どおり受け取れないことが多い。
- 「あだける」
- ”暴れる”。”あたける”が訛った。
- 切り倒された木が乾燥すると、捻れて変形する。これを「木があだける」という。
あたける:あばれ騒ぐ。乱暴する。広辞苑
- 「あたまのおきどころちがう」
- 「頭の置所違う」。”物の見方考え方が違う”とか”発想が違う”という意味。
- 「あたりめ」
- ”当たり前”が訛った。
- 「あち」「あちい」
- ”暑い””熱い”が訛った。
- 「今日はえれえあちなあ」(今日はずいぶん暑いですねえ)
- 「せえふろあちからうんと水うめてへえれ」(お風呂のお湯が熱いので、たくさん水を入れてぬるくしてから入りなさい)
- 「あたりめだんかい」
- ”当たり前じゃないですか”、”当然ですよねえ”と相槌を打つときのことば。
- 「あつがい」
- 狭い部屋に大勢集まっているときの様子を「厚飼い(あつがい)」という。人口密度が高いこと。
- もとは養蚕の用語で、少ない面積でたくさんの蚕を飼うことを表現したことば。
- 「あっこ」
- ”あそこ”のこと。
「あすこ」ともいう。
- 「あとしゃり」
- ”後退り(あとずさり)”のこと。
- 後方に移動しながらする田植えを「後しゃり田植え」と呼ぶ。
- 「あとふき」
- ”後始末(あとしまつ)”のこと。「後拭き」
- 転じて、行事を終えた後の慰労会などにも使う。
- 「あねさ」
- ”お姉さん”のこと。→「あんしゃ」
「姉様(あねさま)」が短くなったらしい。
- 「あのけんまく」
- 「あの見幕」。”あんなに沢山”という意味。
- 「あぶね」
- ”危ない”が訛った。
- 「あぼけない」
- ”歯ごたえがない”、”ぼんやりした”という感じ。
- 「あもていい」(【あ】が高く【もていい】は低い)
- お客様を気張っておもてなしすること。
「お取り持ちがいい」ともいう。
- 「あらかた(粗方)」
- ”ほとんど全部”、”おおよそ”という意味。
”あらませ”と同じ。
あら‐かた【粗方】:ほぼ全部。おおよそ。おおかた。大抵。大体。広辞苑
- 「あらませ」
- ”ほとんど全部”、”おおよそ”という意味。
”粗方(あらかた)”と同じ。
- 「りんごはあらませ(ほとんど全部)取り終えた」
- 「あるめ」「あるめえ」
- ”あるまい(ないだろう)”が訛った。
- 「暖冬だせったってまんざら雪降らねなんてあるめえ」
(暖冬だといっても全く雪が降らないということはないでしょう)
- 「あれさのこれさの」
- ”あれやこれや”という意味。
「あれだのこれだの」などともいう
- 「あれっぱか」
- ”あんな少しばかり”
「あれっぱかの草刈いつまでやってるんだ」(あんな少しの草刈をいつまでやっているんだ)
- 「あんきした」
- 「安気した」。”安心した”
- 「あんきに」
- ”安気に”。
”ゆっくり”とか”のんびり”という感じ。
- 「雨降ったんであんきにお茶飲んでのやすみした」
(雨が降ったのでのんびりお茶を飲んで農休みした)
- 「あんしゃ」
- ”お兄(にい)さん”のこと。→「あねさ」
”兄様(あにさま)”からの変化か。
- 「あんじょさん」
- ”尼さん”のこと。
”庵主さん、庵住さん”が訛った。
- 「あんなん」
- ”あんなの”が訛った。
- 「あんなん簡単だんかい」(あんなの簡単でしょ)
- 「あんねに」
- ”あんなに”が訛った。
- 「あんねに頑張ったのにうまく行かねかった」(あんなに頑張ったのにうまく行かなかった)
- 「あんべ」
- 体や機械、物事の”具合”。あんばい(按配)が訛った。
- 「あんべなっちょだい」(具合はいかがですか)「ちょうどいいあんべだ」(ちょうどいい具合だ)
あんばい:物事のほどあい。かげん。特に、身体の具合。「いい按配に会えた」「按配が悪くて寝ている」広辞苑
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- 「いいからかげん」
- ”いい加減”。
- 「いかした」
- ”行った”の尊敬表現。”お行きなさった”。
- 「もう公会堂へいかしたかい」(もう公会堂へお行きなさいましたか)
- 「いかしゃる」
- ”行く”の尊敬表現。”お行きになる”。
- 過去形は「行かしゃった」。
- 「あした温泉にいかしゃるかい」(明日温泉へいらっしゃいますか)
- 「いかる」(【い】が低く【かる】を上げる)
- ”行く”をちょっと尊敬した表現。過去形は「行かった」。
- 「あした温泉にいかるかい」(明日温泉へいらっしゃいますか)
- 「いがらっぺ」
- ”ちくちく”すること。
- 咽に痰がからむときも「咽がいがらっぺ」という。
- 「いきあう」
- ”行き会う”。”出会う”こと。
- 「京都へ旅行しらったせうけん、孫にいきあってこらったかい」
(京都へ旅行にいらっしゃったそうですが、お孫さんとお会いになってこられましたか)
- 「いきしま」
- ”行きながら”、”行く途中で”という意味。「いきしな」ともいう。
- 「畑へ行きしま道端の草の写真撮る」(畑へ行きながら道端の草の写真を撮る)
- 「いきなり」
- ”成り行きまかせ”、”整理整頓できない”こと。
- 「いきなりにしておくから、すぐ物がなくなる」と婆ちゃんが怒る。
いきなり:事がらのなりゆき。また、なりゆきにまかせること。十分考えないですること。いきなりさんぼう。いきなりほうだい。広辞苑
- 「いきなる」
- ”お行きになる”。「いかる」よりも丁寧な表現。
- 過去形は”いきなった”。
- 「あした温泉にいきなるかい」(明日温泉へお行きになりますか)
- 「いきれる」
- 漢字では「熱れる」。”蒸(む)れる”または”むし暑くなる”。
- 「わらびを採って箱に入れておいたらいきれた(蒸れた)」。
「きょうはいきれるなあ(蒸し暑いなあ)」。
いきれる:
1)むし暑くなる。ほてる。
2)いきまく。りきむ。広辞苑
- 「いくたり」
- ”何人”
- 「婚礼のお客はいくたりだい。」
(結婚式のお客は何人ですか)
いくたり:1)どれほどの人。何人。2)多くの人。広辞苑
- 「いじいじする」
- ”いらいらする”という意味。
- 「いじかめる」
- ”いじめる”
- 共通語の”いじめる”にどうして「か」が入るのかは不明。
- 「いじこじする」
- ”苛(いじ)める””弄(いじ)り回す”こと。
- 「あんまりいじこじすんない」(あまり苛めないでください)
- 「いしょ」(【い】が低く【しょ】を上げる)
- ”衣装”のこと。
- 「いじれる」
- ”いじける”こと。
いじ・ける:ひねくれて臆病になる。のびやかでなくなる。広辞苑
- 「いたかい」
- ”ご在宅ですか?”という意味。
丁寧に「いらったかい」「いなるかい」ともいう。
- 「いたこっぱ」
- 「板木っ端」。”板切れ”のこと
- 「いたこっぱ燃やして風呂沸かす」(板切れを燃やして風呂を沸かす)
- 「いちのの」
- ”唯一の”、”一番の”
- 「いちのの着物」(1枚だけの着物)
- 「いつける」
- ”結びつける””結わえる”とう意味。「えつける」ともいう。
- 「竹の棒の先にCDいつけて鳥避けにする」(竹の棒の先にCDを結びつけて鳥避けにする)
- 「いっこく」
- ”頑固(がんこ)”という意味。
- 「爺ちゃんはまあずいっこくで、人のせうことなんかきかしね」(爺ちゃんはとっても頑固で、他人のいうことなど聞きもしない)
- 「いっこくどう」という芸人が出てきたとき、どんなに頑固な人なのかと思っていたが、全然違った。当然ですね。
- 「いっしに」
- ”ずっと”。”一心に”から変化したものか?”しきりに”
- 「さっきからいっしに(ずっと)カラスが鳴いてる。」
- 「いっせなし」
- ”勢いよく”。「威勢をなして(つけて)」あたりからの変化か?
- 「いっせなし戸を詰めて出てはした」(勢いよく戸を閉めて出ていった)
- 「いっちゃん・・・」(【いっ】が低く【ちゃん】を上げる)
- ”一番・・・”とか”最も・・・”というときに使う。
- 「いっちゃん後から入ったので、いっちゃん初めに出てこれた」
(いちばん後から入ったので、もっとも早く出てこれた)
- 「いっとうさいしょ」
- ”一番初め”。「いっとう」の語源は”一等”なのかよくわからない。
- 「いと」(【い】は低く【と】を上げる)
- 1)空間の広がりや範囲を示す。「広いいと(広い範囲)」
- 「あのあたりは広いいと、裏の家の地所だ」(あの辺りは広い範囲が、裏の家の土地だ)などと使う。
- 2)時間の長さを示す。
- 「お茶が冷めないいとに飲みない」(お茶が冷めないうちにお飲みください)
- 「そのいとにけってくる」(そのうちに帰ってくる)
- 「いっぷくせず」「いっぷくやらず」
- ”(煙草を)一服しましょう”、”一休みしましょう”という意味。
- 「いてなあ」
- ”痛いなあ”という意味。
- 「いなる」
- ”居る”の尊敬語。”居らっしゃる”。
- 「いなさる」
- ”いなる”をもっと丁寧にした。”お居でになる”。
- 「いびる」
- ”いじる(弄る)”こと。
- 「お雛さんの道具をいびってあすんだ」(お雛様の道具を弄って遊んだ)
- 「いびんつ」
- ”いびつ”のこと。さらに訛ると「えべんつ」という。
- 「いぼつる」
- 1)”すねる”、”ふくれる”、”むくれる”。「えぼつる」ともいう。
すねている人を「いぼっつり」と呼ぶ。
- 2)おやきがふっくら蒸し上がらず、ぺちゃんこになったときも「いぼつった」という。
「いぼつってあちら向いたる蛙かな」一茶
- 「いまっと」
- ”もっと”。
- 「いまっとおやきやっとくんなさい」(もっとおやきをお召し上がりください)
- 「いも・・・」
- ”もう・・・”、”あと・・・”
「いも少しで(もう少しで)仕事にきりがつく」
- 「いらったかい」
- ”いらっしゃいますか”という意味。
- 「いらる」
- ”居る”の尊敬表現。”いらっしゃる”が縮んだ。過去形は「いらった」。
- 「あした家にいらるかい」(明日はお宅にいらっしゃいますか)
- 「いわる」
- ”言う”の尊敬表現。”おっしゃる”。
- 過去形は”いわった”。
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- 「うしんぼ」
- ”牛”のこと。昔は家の中でうしんぼを飼っていた。
- 「うそうそ」
- その辺を歩き回るときの様子を表現したことば。「ふらふら」と「こそこそ」の中間ぐらいで、共通語の「うそうそ」とは感じが違う。
- 「うそっかけ」
- 稲わらで作った履き物。藁草履(わらぞうり)の甲の部分も稲わらで編んである。
- 素足ではいても、爪先が雪に触れないので、とても暖かかった。婆ちゃんの実家の山田の家には最近まであったような気がするが、今はもう作る人がいなくなった。
- 「うそろぐあいわり」
- ”なんとなく体調が悪い”というようなときに使う。
- 「うそろさびい」
- ”薄ら寒い”が訛った。
- 「あめしわついてうそろさびいひだこと」(雨がしとしと降って薄ら寒い日ですねえ)
うすらさむい【薄ら寒い】:なんとなく寒い。
夏の末から秋の初めにかけてのほのかに感じられる寒さなどにいう。
うそさむい。広辞苑
- 「うっつぶす」
- ”潰す(つぶす)”。「おっつぶす」ともいう。
- 「空き缶を踏んづけてうっつぶす」(空き缶を踏みつけて潰す)
- 「うでったるい」
- ”腕がだるい”
- 「うなでと」
- ”自然と”、”自然に”
- 「毎日やってればうなでと(自然に)上手になるもんだ」
- 「うら」
- ”裏””末”
- 後ろ側
木や竹の先端、梢
うら【裏】:表面と反対の、隠れている方(にあるもの)。→表。
1)平らな物の、見えない方。裏面。
2)内部。奥。
3)物のかげ・うしろの側。背面。
4)事柄の表に現れない面。内情。内幕。
5)着物の内面につける布。裏地。
6)裏づけ。
7)(家屋の裏にある)便所。せっちん。
8)長いものの先端。すえ。広辞苑
- 「うらっけえし」
- 「裏っけえし」。”裏返し”が訛った。
- 「シャツうらっけえしに着てだらしねえこと」(シャツを裏返しに着てだらしのないこと)
- 「うれまし」
- 「羨ましい」”が訛った。
- 「あそこのち宝くじ当たったせうで、うれましこと。」(あそこのお宅は宝くじが当たったそうで、羨ましいですね)
- 「うわっか」
- ”上側”のこと。「上っか」。”うわかわ”から変化した?
- 反対は”下っか”。
- 「うわっぱり」
- ”上着”のこと。
- 上に羽織るから転じたものか。
- 「うわでら」
- ”上平(うえだいら、うわだいら)”のこと。
- 「おわでら」ともいう。
- 「うんにゃ」
- ”いや、そうではない”という否定のことば。「えんにゃ」ともいう。
- 「うんにゃ、そんなこたねえ」(いいや、そんなことはないよ)
- 「うんめ」「うんめえ」
- ”うまい”が訛った。「んんめ」「んんめえ」とも聞こえる。
- 1)”上手い”、”巧い”こと。
「イチロー選手は守備がうんめなあ(上手だなあ)」
- 2)”美味い”こと。
「このお茶うんめなあ(美味しいねえ)」
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- 「えーかん」「ええかん」
- ”とても”、”ずいぶん”。
- 「はしごのてんみねから落ったときはえーかん痛かったろぉ」(はしごの天辺から落ちたときはずいぶん痛かったでしょう)
- 「えーくろかげん」「ええくろかげん」
- ”いい加減”。
- 「えーくろかげんにして今日はもうけえらず」
(いい加減にして今日はもう帰りましょう)
- 「ぇえっこ」(【ぇ】は低く【え】を上げる)
- ”行って来い”に近い感じ。”おあいこ”からの変化か。
- 親戚に新入学の子どもがいると「入学祝」として金品を贈ることがあるが、両家に新入生がいるときは、お互い様として贈り物などを交わさないよう、話し合うことがある。このときに「ぇえっこにしよう」という。
- ”変えっこ”からの変化か?
- 農作業などで使う「ぇえ」は、”ゆい(結い)”の訛で、お互い様という感じで使う。
- 「えかった」(【え】が高く【かった】が低い)
- ”良かった”が訛った。
- 「えかった」(【え】が低く【かった】が高い)
- ”お行きなさった”、”いらっしゃった”という意味。
- 「さっきどっかへえかったで」(さっきどこかへいらっしゃいましたよ)
- 「えける」
- ”埋ける”が訛った。
- 「雪降る前に穴掘って大根をえけておけ」(大根を埋けておきなさい)
- 「えこ」(【え】が高く【こ】を下げる
- ”とても”、うんと”
- 「えこあんべわりぃよーだったら、仕事休め」。(とても具合が悪いようだったら、仕事を休め)などと使う。
- 「えっくら」
- ”いくら”が訛った。
- 「えっくらせったってききゃあしね」(いくら言っても聞く耳を持たない)
- 「えっぺ」(【え】が高く【ぺ】を下げる)
- ”一杯(いっぱい)”が訛った。
- 「えっぺやらず」(一杯やりましょう)
- 「えっぺ」(【え】が低く【ぺ】を上げる
- ”たくさん”のこと。「一杯」。「精えっぺ(一杯)」
- もっと多くなると「え〜っぺ」。いっぱい→いっぺ→えっぺ と変わってきたらしい。
- 反対は「ちっと」
- 「えどくる」
- ”描く”、”色を塗る”。
- 化粧が濃いと「あんなに顔えどくって」と陰口をいう。「えのくる」ともいう。
- 「えの」(【え】が低く【の】が高い)
- ”犬”が訛った。
- 「えべ」(【え】が高く【べ】を下げる)
- ”行け””行こう”。行くべい→えくべい→えくべ→えべと変わってきた?
- 「一緒にえべさ」(一緒に行きましょう)などと使う。
- 「えぶす」
- ”燻す(いぶす)”が訛った。
転じて、燃料がうまく燃えずに煙を出していることを言う。
- 「えらえ竈えぶしてるなあ」(ずいぶん竈から煙を出しているなあ)
- 「えぶる」
- ”燻る(いぶる)”が訛った。
- 「えぼ」
- "疣(いぼ)"のこと。
- 「えぼっこ」
- 子どもが描くような"絵"や”漫画”のこと。
立派な絵画には使わない。
- 「えみっつぁける」
- ”はちきれる”、”大きくなりすぎてひび割れる”こと。
- 「りんごがでかくなるすぎてえみっつぁけた(ひび割れた)」
- 「えも・・・」
- ”もう・・・”、”あと・・・”。
- 「えも2、3個でりんご箱がえっぺになる」(もう2、3個でりんご箱が一杯になる)
「えもちょっとで(もう少しで)事故になるとこだった」
- 「えらさわぎ」
- ”大騒ぎ”、”にぎやか”、”混乱している”といった意味。「でかさわぎ」も同じ。
さらに程度が増すと「えらっさわぎ」となる。
- 「えんさ」
- ”縁側(えんがわ)”のこと
- 「えんで」
- ”歩いて”。「えんでえべさ」(歩いていこう)
- ”あゆんで”から変化したものか?
- 「えんと」
- ”腰をおろす”こと。「おんとする」ともいう。
「ふたびれたんでみちばたにえんとしてやすんだ」(疲れたので道端に腰をおろして休憩した)
- 「えんにゃ」
- ”いや、そうではない”という否定のことば。
- 人によっては「うんにゃ」ともいう。
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- 「おいこくる」
- ”追いやる”こと。
- 「おいべっさん」
- ”恵比寿様”のこと。恵比寿様を祀った神社も「おいべっさん」と呼ぶ。
- 「おえ〜」(【〜】を下げる)
- ”おいおい”という感じを表現することば。事態が変化したときなどに発する。
- 「だめだおえ〜」(だめだよ〜)などと使う。
- 「おおどこ」
- ”財産持ち”のこと。田畑をたくさん所有しているお宅のこと。
- 「おおほね」
- ”背骨”のこと。
- 「はしごから落っておおほね痛めた」(梯子から落ちて背骨を痛めた)
- 「おかっつぁん」
- ”奥さん”あるいは”母親”のこと。”おかみさん”あるいは”おかあさん”からの変化か。
「○○さんのおかっつぁんは△△の家から嫁にこらった」
(○○さんのお母さんは△△の家から嫁にいらっしゃった)
- 「おかんばん」
- 会合の後の懇親会で、酒の用意をする役目のこと。「お燗番」
おかんばん:料理屋などで酒の燗の世話をする人。
広辞苑
- 「おきょそ」
- 「きょそきょそ(きょろきょろ)」して落ち着かないこと。”おっちょこちょい”に近い。
- 「おきょそ息子」などと組み合わせて使ったりする。
- 「おくで」
- 「奥」のこと。「奥手」?
- 「前で(前のこと)」の反対。
- 「おけつ」
- ”お尻”のこと。
- 「けつ」を丁寧にいう。
- 「おさまる」
- ”掴まる(つかまる)”こと。
- 「荷台から落ちねようにしっかりおさまってろ」(荷台から落ちないようにしっかり掴まっていなさい)
- 「おさめる」
- ”捕まえる(つかまえる)”こと。
- 「オニムシおさめてあすんだ」(クワガタを捕まえて遊んだ)
- 「おさめる」
- ”掴まる(つかまる)”こと。
- 「荷台から落ちねようにしっかりおさまってろ」(荷台から落ちないようにしっかり掴まっていなさい)
- 「おさる」(【お】が低く【さる】が上がる)
- ”教わる(おそわる)”が訛った。
- 「あの先生に音楽おさった(教わった)」
- 「おしこくる」
- 力を入れて押すこと。”押しまくる”という感じ。
- 「おじさ」(【お】と【さ】が低く、【じ】を上げる)
- ”お爺さん”のこと。→「おばさ」
- ”お爺様”が変化したらしい。叔父さん(伯父さん)ではない。
- 「おしゃいい」
- ”物怖じしない”、”押しが強い”。
- 「おじょこ」
- 1)子どもが大人びた話や動作をすること。
- 2)若者の行動を年寄りが非難するときにも使う。「生意気」
- 「おしょしい」(【お】が高く、【しょうしい】を下げる)
- ”恥ずかしい”こと。「しょうしい」ともいう。
しょうしい:(東北・信越地方で) 恥かしい。おしょしい。広辞苑
- 「おしょる」「おしょぼる」「おしょっぽる」
- ”折る”。「おっぽしょる」ともいう。
- 「ぼやをおしょる(細い薪を折る)」。
「りんごの脚立から落って足の骨がおしょれた(折れた)」
- 「おせる」「おせえる」
- ”教える”が訛った。
- 「おぞい」
- ”ずるい”という意味。「おぜえ」ともいう。あまりいい意味では使われない。
おぞ・い【悍い】→おぞし
おぞ・し【悍し】:
1)恐ろしい。
2)強烈で強情である。
3)わる賢い。ずるい。広辞苑
- 「おたっしゃん」
- ”聖徳太子”のこと。「お太子さん」が訛った。
- お隣の須坂市太子町で行われる聖徳太子のお祭りも「おたっしゃん」と呼ぶ。
- 「おだむ」
- 風や嵐が止んで”おだやかになる”こと。
「おだゆむ(小弛む)」が変化した。
お‐だゆ・む【小弛む】:少しゆるやかになる。雨が小降りになる。おだやむ。広辞苑
- 「おちょべ」
- ”お世辞”、”おべっか”。「おちょうべ」ともいう。
- 「おちょべこく」(お世辞を言う、おべっかを使う)
- 「おっか」(【お】が低く、【か】を上げる)
- ”妻”、”嫁”のこと。→「ていしょ」
- ”おっかあ”が短くなった。叔父さん(伯父さん)ではない。
- 「おっかう」
- 「支う(かう)」を強めた言い方。”支える”。
かう:ささえにする。支柱として入れる。「つっぱりを支う」。広辞苑
- 「おっかぶせる」
- ”覆う”こと。
”覆い被せる”が訛ったらしい。
- 「藁濡れねようにシートおっかぶせとけ」
(藁が濡れないようにシートで覆っておきなさい)
- 「おっこす」(【こ】を上げる)
- 1)物を”壊す”こと。
- 2)手足や顔などを傷つけること。怪我をすること。「手袋をしないで木の枝をいじっていたら手をおっこした(傷つけた)」
- 「おっことす」
- ”落とす”こと。
- 「どっかで財布おっことした」
- 「おっこれる」
- お金を”崩せる”こと。小銭にかえられる。両替できる。
- 「1万円札おっこれるかい」(1万円札両替できますか)
- 「おっしゃん」(【おっ】が高く【しゃん】を下げる)
- ”お坊さん”のこと。
- 「おった」
- ”落ちた””おっこちた”が変化した。
- 「梯子のてんみねからおった」(梯子の天辺から落ちた)
- 「おっちゃう」
- ”落ちてしまう”こと。
「勉強しねと試験おっちゃうど」(勉強しないと試験に落ちてしまいますよ)
- 「おっつ」(【つ】を上げる)
- 鳥獣を捕獲する”檻(おり)”あるいは”罠(わな)のこと。「おっつぉ」ともいう。
- まだ爺ちゃんが狩猟免許を持っていたとき、冬の猟期になると、針金でつくった「おっつ」を野ウサギの通り道にしかけて捕らえ、家族にたんぱく源を補給した。
- まちがって”トラバサミ”にかかった貂(テン)は、襟巻きに変身させられた。
- 最近は有害鳥獣駆除のために猿や熊を捕獲する丈夫な「おっつ」があちこちにしかけてある。
- 「おっつめる」
- ”押しつける”。「うっつめる」ともいう。
- 「おっぱなす」
- ”(勢いよく)放す”こと。
- 「風船おっぱなしたらたけえとこまで飛んでってめえなくなった」
(風船を放したら高いところまで飛んで行って見えなくなった)
- 「おっぱめる」
- 1)”はめる”を強めたいいかた。
- 2)”おとしめる”。
「赤足袋を手におっぱめる子供哉」一茶
- 「おっぴろげる」
- ぱーっと”広げる”こと。
- 「茶の間中新聞紙おっぴろげた」
- 「おっぽ」
- 「尾っぽ」。”尻尾(しっぽ)”のこと。
- 「犬が尾っぽ振ってる」
- 「おっぽしょる」
- ”折る”こと。
- 「おしょる」を強めたいいかた。
- 「おでやる」
- ”おいでになる”、”いらっしゃる”
- 「おてんとさんおでやった」(お日様が出ていらっしゃった)
- 迎え盆にはお墓へ行き「爺ちゃん婆ちゃんおでやれおでやれ」といってご先祖さんをお迎えする。
- 「おてんとさん」
- ”お日様”
「お天道様」が訛った。
- 「おてんま」
- 村の共同作業のこと。道路や河川の掃除、共同林の草刈りや間伐作業など、地区によっていろいろある。
原則として一軒から一名が参加する。
- 「おとき」
- 法要の後、主だった参会者と親戚に出す食事。「御斎」
本来は仏教の儀式であったが、キリスト教の葬儀の後でも食事を出すので、地域の習慣となっている。
おとき【御斎】:「とき(斎)」を丁寧にいう語。
とき【斎】(食すべき時の意):寺で出す食事。また、法要その他仏事の参会者に出す食事。
- 「おとげ」
- 下顎(したあご)のこと。
- ”おとがい”が訛った。
おとがい:したあご。広辞苑
- 「おどける」
- ”非常に驚く”、”びっくりする”、”たまげる”。
- 「おとこしょ」
- 男性のよびかた。”男衆(おとこしゅう)”が訛った。
- 奥さんが「(うちの)おとこしょ」というときは、旦那さんを指す。
- 「おとっこ」(【お】が高く【とっこ】を下げる)
- ”すえっこ(末っ子)”のこと。
- ”おとご”が訛った。
おとご【弟子・乙子】:末に生れた子。末子。おと。今昔物語集「子あまた有る中におとごなる女童(メノワラワ)」広辞苑
- 「おとりもち」
- ”接待”あるいは”ご馳走”のこと。
- 「おとりもちが良くて」(たくさんご馳走になって)
- 「おにむし」
- ”クワガタ”のこと。
- クヌギの木を蹴飛ばして「おにむし」を落とし、枯れ葉の中に逃げ込む前に見つけて捕まえた。
「ハコショイ(ミヤマクワガタ)」が多く、特に大型のものは「バケ」と呼んだが、「ウシ(ノコギリクワガタ)」は数が少なく、貴重品だった。
雌は大小に係わらずみんな「ナベ」と呼んだ。
夜中に箱から逃げ出した「おにむし」が、天井のない藁葺きの屋根裏を歩くと、煤が落ちてきて床が真っ黒になり、でかく怒られた。
お盆になると「殺生はいけない」といわれ、それまで大事に飼っていた「おにむし」を全部山に戻してやり、お盆が過ぎると、熱が冷めたように捕まえなくなった。
- 「おはいんなさる」
- お入りになる。転じてお日様が沈むこと。
- 「おてんとさんおはいんなさるから、けえるか」(お日様が沈むので、帰ろうか)
- 「おばさ」(【お】と【さ】が低く、【ば】を上げる)
- ”お婆さん”のこと。→「おじさ」
- ”お婆様”が変化したらしい。叔母さん(伯母さん)ではない。
- 「おひゃらかす」
- ”からかうう”こと。
- 「おぶいひも」
- 赤ん坊を背負うときに使う長い紐。「負い紐」。
- 今、おぶい紐で子どもを背負っている母親を見ることはまったくなくなった。
おぶいひも:子供を背負う時に用いる紐。おんぶひも。広辞苑
- 「おぶう」(【ぶ】を上げる)
- ”背負う”こと。
- 「ぼこおぶって子守りかい」(赤ちゃんを背負って子守りですか)
- 「おぶさる」(【ぶさ】を上げる)
- ”おんぶ”されること。
- 「おべ」
- ”覚え”が訛った。
- 「そんなことおべねえなあ」(覚えがありませんねえ)
- 「おぼさん」(【お】が高く【ぼさん】は低い)
- ”お坊さん”のこと。
膝小僧のことを呼ぶこともある。
「ころんでおぼさんすりむいた」(転んで膝小僧を擦り剥いた)
- 「おまち」(【ま】を上げる)
- ”都会”のこと。”お町”。
田舎のことは「ざい(在)」と呼ぶ。
- 「おもしれ」
- ”面白い”が訛った。
- 「おもてげえし」
- ”畳の表替え”のこと。
- 「おやど」
- ”お宅”。
- 「おやどのおとこしょは達者だねぇ」(お宅の旦那さんはお達者ですねぇ)
- 「おやる」(【お】と【る】が低く【や】が高い)
- ”おいでになる”、”いらっしゃる”。過去形は「おやった」。
- 「きんなおやるそもったけんおやんなかった」(昨日おいでになると思っておりましたが、いらっしゃいませんでした)
- 「およ」
- ”お湯”が訛った。
- 1)”お湯”のこと。
- 2)”お風呂”のこと。
- 「おらる」(【お】と【る】が低く【ら】が高い)
- ”おいでになる”、”いらっしゃる”。過去形は「おらった」。
- 「婆ちゃんおらったかい」(婆ちゃんはおいでになりますか)
- 「おろし」(【お】は低く【ろし】を上げる)
- 冬の北風や吹雪のこと。
「この辺はおろしが強いから木がでかくなれねえ」(この辺は北風が強いので木が大きく育たない)
- 「おんとする」(【お】が高く【んとする】を上げる)
- ”腰をおろす”こと。「えんとする」ともいう。
「みんなでえんさにおんとしてお茶飲んだ」(みんなで縁側に腰掛けてお茶を飲んだ)
- 「おんなしょ」
- ”女性”のこと。複数とは限らない。”女衆(おんなしゅう)”が訛った。
- 旦那さんが「(うちの)おんなしょ」というときは、奥さんを指す。
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